
じゃがいもに大根、にんじんにキャベツ、そして玉ねぎ……スーパーに行けば見慣れた野菜が常に並べられています。
しかし、たまには別の野菜を使って料理してみたい、と思ったことはないでしょうか。
そのような経験を持つ方にはビーツをおすすめしたいです。
今回はビーツを使った煮込み料理について、そのレシピや注意点などを解説します。
ビーツの煮込み方や注意点

ビーツとは赤色が特徴的で、その見た目から「火焔菜(かえんさい)」と呼ばれることもある野菜です。
日本ではまだなじみが薄いですが、世界各国では古くから親しまれ、特に中欧や東欧では日常的に食べられています。
ビーツは栄養価が高く、特に鉄分や葉酸が豊富なので「食べる輸血」という異名を持っているほどです。
また、最近ではビーツに含まれている一酸化窒素(NO)が注目を集めています。
一酸化窒素は血管をやわらかくする働きを持っており、脳卒中や心筋梗塞の予防には必須です。
そのため、ビーツを食べる際もこれらの成分をいかに落とさないかが求められます。
最も注意しなくてはいけない点は、熱を通す際に皮を剥かないことです。
もし皮を剥いてしまうと加熱時にそこから成分が流れ出てしまい、ビーツの持つ力を十分に発揮できません。
そのため、皮付きのまま調理することが重要です。
十分に注意しながら調理すれば、やわらかくなり、さらに甘みも増したビーツを楽しめるようになります。
おすすめのビーツ煮込み料理
生のビーツは少々硬めです。
そのためビーツを煮込んでやわらかくした料理が世界各国で作られ、そして現在も親しまれています。
おすすめのビーツ煮込み料理①ボルシチ

ビーツを使った煮込み料理の代表例がボルシチです。
ビーツをはじめ玉ねぎやにんじんなどの野菜、そして牛肉をよく煮込んで作ったボルシチは旨みがあふれており、非常に絶品です。
調理の手間もさほどかからないので、ふと食べたくなったときでも気軽に作れます。
用意するのはビーツ・キャベツ・玉ねぎ・にんじん・にんにくといった野菜、牛のこま切れ肉または切り落とし肉、トマトホール缶、固形スープの素、サラダ油・塩・コショウ・バターなどの調味料です。
まず野菜や牛肉を食べやすいサイズにカットしてください。
次に鍋へサラダ油をひいて、十分になじんだら牛肉を入れて炒めます。
牛肉の色が変わったら野菜とバターを入れ、弱火にしつつ全体的にしんなりとなるまで炒めてください。
その後、トマトホール缶や固形スープの素を入れてじっくりと煮込みます。
頃合いをみて塩やコショウなどで味を調えたら完成です。
このとき、きざんだパセリを上から散らしてあげるとおしゃれになるでしょう。
ビーツは生の状態だと少々青臭さがありますが、火を通すことでその独特な匂いが飛び、非常に食べやすくなります。
ウクライナ料理の定番であるサワークリームを使うのもおすすめです。
野菜や肉の濃厚な旨味の中にサワークリームの酸味が加わって、ひと味違ったボルシチを楽しめるようになります。
また、ボルシチをパイ包み焼きにしても良いでしょう。
できあがったボルシチを耐熱容器に入れ、冷凍パイシートでふたをした後にオーブンまたはオープントースターでしっかりと焼きます。
焼けた生地を主食のようにして食べられるので、ボルシチ一品だけでは物足りないという方にも喜んでもらえるでしょう。
おすすめのビーツ煮込み料理②スペアリブとビーツのトマト煮込み

お肉をしっかりと堪能したいなら、スペアリブとビーツのトマト煮込みをおすすめします。
この料理をおいしくいただくコツはスペアリブの下準備にあります。
まず、スペアリブに軽く塩を振り、赤ワインとハーブとともに保存容器へ入れて、少なくとも3時間は漬け込んでください。
寝る前に準備して一晩中漬け込んでおけば、翌朝にはしっかりと下味がついたスペアリブができあがっているはずです。
薄くスライスした玉ねぎとセロリを弱火で炒め、鍋の中で透明になったらスペアリブの下準備で使った赤ワインとハーブをその中に入れます。
出てくる灰汁を取り除きつつ固形スープの素を入れ、沸騰したらスペアリブを入れて煮込みます。
このとき、スペアリブはフライパンで表面を焼き固めておいてください。
また、煮込んでいる最中は多くの脂が浮き出てくるので、少々面倒でも丁寧に取り除いてください。
この脂取りを怠ってしまうと料理の味がぼやけてしまいます。
なお、煮汁はスペアリブが被るぐらいの量が必要ですが、もしそれに満たない場合は赤ワインか水を足してください。
スペアリブとは別の鍋でビーツの下ごしらえを進めていきます。
ビーツは皮ごと洗い、塩と酢を少々入れた水を沸騰させた後にその中で20分ほど茹でてください。
竹串が抵抗なく刺さるまでやわらかくなったら鍋から取り出し、食べやすい大きさに切っておきます。
スペアリブを30分ほど煮込んだ後、ハーブを取り出して代わりにビーツ・ビーツの煮汁、トマトホール缶を入れ、さらに10分から15分煮込みます。
バターや塩コショウで味を調えたらスペアリブとビーツのトマト煮込みの完成です。
赤ワインにはタンニンと呼ばれるポリフェノールが豊富に含まれており、それが肉の旨味を引き出しつつ脂っぽさを取り除いてくれるので、スペアリブが非常に食べやすくなっています。
また適度に残った肉の脂はトマトの酸味やビーツの香りとの相性が抜群です。
使わずに残しておいた赤ワインを片手に、できあがったばかりのトマト煮を楽しむのも一興でしょう。
おすすめのビーツ煮込み料理③豚バラとビーツとレンズ豆の煮込み
ビーツと相性が良いのは牛肉だけではありません。
豚肉も、ビーツと合わさればそのポテンシャルを最大限に発揮できます。
まず豚バラ肉に塩をよく揉み込み、冷蔵庫の中で一晩寝かして下ごしらえをしてください。
合わせて玉ねぎ・にんにく・ビーツはみじん切りに、レンズ豆は熱湯で3分ほど茹でておきます。
鍋の中でオリーブオイルを熱し、その中へ玉ねぎ・にんにく・ビーツを入れて、しんなりとするまでしっかりと炒めてください。
その後にあらかじめ茹でてあったレンズ豆、そして下ごしらえが済んでおり流水で塩も落とした豚バラ肉を入れ、水・固形スープの素・ハーブとともに煮込みます。
ふたをしつつ弱火で煮込み続け、水気がなくなったら完成です。
豚バラ肉が持つ旨みをビーツとレンズ豆がしっかりと吸ってくれているので非常においしいです。
なお、野菜類の下準備はハンドブレンダーを使うと楽に行えます。
あさぎり農園のビーツをご賞味ください

以上、ビーツを使ったおすすめの煮込み料理を3点ご紹介しました。
生のままだと少し歯ごたえがあるビーツも、肉やほかの野菜といっしょに煮込むことでほどよくやわらかくなります。
実は、ビーツには旬が年に2度あり、6月から7月、そして11月から12月です。
つまり、冬が訪れ寒さが厳しくなってきた頃にビーツは旬を迎えます。
年末の慌ただしさも合わさりなかなか体を休ませられないこの時期に、ビーツを使った煮込み料理を堪能すれば体の芯から温まることができるでしょう。
もし今回の記事でビーツの煮込み料理に興味を持たれたなら、ぜひあさぎり農園のビーツをお求めください。
寒暖の差がはげしい環境で育ったビーツはその身に栄養をしっかりと蓄えており、一口食べれば鉄分や葉酸が体のすみずみに行き渡るはずです。
有機栽培のビーツから、使い勝手が良いビーツの水煮、さらにはビーツで作った赤汁と、ありとあらゆる商品を用意しております。